oddⅤ -呪われし花嫁と天空城の秘宝-

最新の更新分が先頭に表示されます。 最終更新16年1月24日

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第三章 14

「だから言っただろ? もう考えは決まっているって。上がダメで、陸上がダメ。なら残された場所は? ……って話だ」
「まさか――!」
 それを聞いてピンと来たエイミー。
 ニヤリと笑みを浮かべたのはカスケルだった。
「そう。空と陸上がダメならば、残された場所は地下だけだ。もちろん、警戒されている可能性は否めないだろうが、あいつらも入るルートを考えて作っているはずだからな」
「あいつら、って?」
「魔獣のことだよ。まさかあの塔の魔獣、人間をここに放り込んだだけで管理をしないとは思えない。きっと管理をするために使い魔を送り込んでいるはずだ。そいつらがどこから経由しているか……そこが重要になる」
 カスケルがそう発言したと同時だった。
 夜の街に、鐘の音が鳴り響いた。
 その鐘は教会の上にある、古い鐘だった。その鐘が何者かによって鳴らされている。
「……いったい何があったんだ?」
 それから少しして、扉が開かれる。
 中に入ってきたのは、彼らを助けてくれた女性だった。
「あんたたち、大変だよ! 急いで外に出ておくれ!」
「何があったんですか!」
「私としたことが忘れていたよ……。新入りが入った日にはまず、洗礼があるんだ!」
「洗礼? なんですか、それは」
「いいから急いで! 魔獣に怒られちまう!」
 それを聞いて、彼らは目配せをする。お互いに頷いて、そこへ向かうことを決意した。

 ◇◇◇

「お前たちが新入りか?」
 魔獣はアルスたちに開口一番そう告げた。
 教会の前には翼を生やした魔獣が二匹立っていた。そしてアルスは魔獣たちを前にして頭を垂れている。正確に言えば頭を垂れさせられている。そうしないと魔獣は怒ってしまうらしい。沸点がよっぽど低いと見えるが、それを言ってしまうと猶更苛立ってしまうとのことなのでアルスはそれを言わないでおいた。
「……まあ、いい。五人も入ったことはいいことだ。さらにこの町の仕事が弾むという話だ。簡単に自己紹介でもしておこうか。ああ、お前たちのことはどうでもいい。仕えるべき存在の名前くらいは把握してもらわないとな。顔を上げろ」
 そういわれたのでアルスたちは顔を上げる。
 そこにいた魔獣二匹は踏ん反り返っていた。要するに自分たちの地位を誇示しているのである。きっと彼らの地位は塔にいる魔獣が決めたものだから彼ら自身が決定したものではないというのに、とアルスは思った。
「私の名前はヒューズだ。よく覚えておきたまえ」
 人間のように眼鏡をかけた魔獣はそう言った。
「そして私の名前はアリウスだ。覚えておけ。一応言っておくがお前たちの行動はすべて灯台に居られるケイグル様に伝えられる。お前たちが仮に謀反でも起こそうという気を一瞬でも起こしたら、それはすべてケイグル様に伝えられることになるからそのつもりで」
 アリウスの言葉の後、場は静寂に包まれた。これを新入りが入るたびに聞かされているのだ。住民にとっては耳に胼胝ができる程聞いた言葉なのだろう。もうその言葉を無言で受け入れるしかない程、彼らは追い詰められていたということになる。

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